ピーターの航海日誌

アラ還おじさんの雑記Blog

イースターと暦 その3

イースターが移動する理由
長々と暦の話をしてきましたが、本題に戻りましょう。なぜ、イースターは年によって変わるのでしょうか。それはイースターを「ユダヤ暦過越の祭の直後の日曜日」とするためです。新約聖書によると、イエス・キリストの十字架刑は、過越の祭の前日、そしてイースター過越の祭の翌日でした。この聖書の記述にできる限り近い「日曜日」をイースターとするためにA.D.325年にローマ皇帝コンスタンティヌスにより召集された「ニケア宗教会議」において「イースターは、春分のすぐ後に来る最初の満月の後の最初の日曜日」と決められました。クリスマスのように「12月25日」と西暦の月日では定められなかったのです。太陰太陽暦であるユダヤ暦を大切にしつつ、「主の日」である日曜日がイエス・キリストの復活の記念であることを忘れないために、このようになりました。
今年の場合、ユダヤ暦によると第1の月(ニサン)の14日(過越の祭)はA.D.2011年4月18日(月)になります。イースター過越の祭の翌日ですから4月19日(火)になるはずです。また、春分の日は3月21日(月)ですぐ後の満月の日も4月18日(月)です。しかし、イースターは日曜日でなければなりませんから、その満月の次の日曜日の4月24日(日)がイースターとなります。そして、結果的にユダヤ暦の過越し祭と多少のずれが生じてしまいました。
A.D.1582年、ローマ法王グレゴリウス13世は、ユリウス暦の10月4日の翌日を10日飛ばして、10月15日とし、グレゴリウス暦をスタートさせました。ただし七曜(曜日)は飛ばさないでそのまま継続させました。ここで10日飛ばしたのは、イースターを決めるポイントの春分ユリウス暦の3月21日と決められていたのに、1582年の段階で実際の春分が10日も早くなっていたからです。1年を365.25日(4分の1日)と考えていたため、実際の365.2425日との違いの11分が、カイザルがユリウス暦を制定してから1600年弱の間に積もり積もって10日の誤差になってしまったからです。
長々と暦のことについて書きましたが、イースターが移動する理由がよく理解いただけましたでしょうか? 僕の説明だと、ちょっと心配です(完)