ピーターの航海日誌

アラ還おじさんの雑記Blog

イースターと暦 その1

神戸に毎年お菓子で作ったイースター飾りをディスプレーする白系ロシア移民が始めた洋菓子店がありました。残念なことに廃業されて今はそれを楽しむことはできません。クリスマスは毎年12月25日なのに、そのイースターは毎年移動します。どうしてこのようになっているのか、2007年にある月刊誌の記事に書いたことがありますので、その一部を3回にわけて掲載します。
・暦の種類
世界中には多くの暦があり、地域や宗教の違いでいろいろな暦が使われています。しかし、このままでは不便ですので、普段わたしたちがつかっている暦(西暦)が世界標準の暦とされています。西暦はグレゴリウス暦とも呼ばれ、16世紀にカトリック教会が制定しました。この暦は太陽暦といって太陽の動きを基準として作られています。
それでは「太陽暦」とは一体どのような暦なのでしょうか。きっと学校で習われたと思いますが、復習のためもう一度確認してみましょう。1年のうちで昼と夜の長さが同じになるところを春分秋分とし、昼の一番長い日を夏至、夜の一番長い日を冬至とします。春分を基点にし、地球が太陽を一周して同じ場所に戻ってくる時間が1年です。西暦は1年の長さを365.2425日としています。このままでは4年経つと約1日、春分の日がずれてしまいますので、4年に一度、夏季オリンピックのある年に、2月を1日多い29日とし、その年を閏年(うるうどし)と呼びます。ただし、このままでも若干のズレが生じますので、100で割れて400で割れない年は、閏年としないと決めています。このように、閏年を加えることによって太陽暦は1年間の日数のズレを調整しています。
わたしたちになじみの深い暦に、旧暦と呼ばれている日本の天保暦(てんぽうれき)があります。これは太陰太陽暦(たいいんたいようれき)と呼ばれています。イースターの話をしているのに、なぜ日本の暦? と思われるかもしれません。実は聖書で用いられている暦は日本の旧暦とよく似た太陰太陽暦です。また、俳句をされる方は、季語を使う必要があります。季語はこの天保暦にのっとて決まっています。ですから、天保暦について分からないことがあれば近くにいる俳句をたしなむ方に聞くことができるから便利でしょう。
さて、月は地球の周りを約29.5日で一回りします。しかし、そのままでは暦として使えません。そこで、30日の大の月と29日の小の月とすることによって上手につじつまを合わせました。一月(ひとつき)のうちで、月が現れるときを朔(さく)、朔日(ついたち)とし、一月(ひとつき)の真中あたりで満月、そして月が欠けて見えなくなるので月末または晦日みそか)と決めました。このようにして、1回の月の満ち欠けをひとまわりするので天保歴は、一月(ひとつき)と呼ぶわけです。その結果、三日月、十五夜など、日付と月の見え方が連動するようになりました。
天保暦では大の月6回と小の月6回の12ヶ月で1年、354日となります。残念ながら太陽を基準とする1年に比べ、天保暦は1年が11日短くなってしまいます。そこで、2月に春分の日、5月に夏至、8月に秋分の日、11月に冬至が来るように調整し、閏月を19年に7回どこかに加えて、1年13ヶ月とし、実際の1年との差を調整しました。
ここまでで、もう頭がこんがらかってきた人がおられるかもしれません。でも、もう少し我慢してください。なぜなら、太陰太陽暦こそ聖書が使っている暦だからです。(続く)