少し前に、NHKの歴史秘話ヒストリア「ウルトラマンと沖縄」を観ました。ウルトラマンの脚本を書いた、金城哲夫さんのお話です。
円谷プロダクションが制作した特撮番組は、子どもの僕に多くの夢をあたえてくれたなあと今でも思っています。とくにウルトラシリーズの最初の三作が好きです。ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン。この頃はTVの黎明期の後半になるのかな? 円谷プロそのものの黎明期でもあり。大人が子どもたちのために、費用以上の努力や熱意で番組を作っていたのもあり、その熱意を大人になってから再確認することもありました。
今から考えれば、特撮部分はドキドキワクワクでしたが、子ども番組だけれど、脚本が良かったのだなと今になって感じています。ここで詳しくは書く必要も無いほど有名な方ですが、脚本を担当していた金城哲夫さんの影響を知らず知らずに受けていたなと改めて、番組を観て思いました。
金城哲夫さんが、円谷プロで脚本を担当した番組は、ウルトラQ、ウルトラマン、快獣ブースカ、ウルトラセブン、マイティジャック、怪奇大作戦です。快獣ブースカは、なぜか真剣に観なかったのもあり記憶があまりありません。怪奇大作戦は子どもには難しくて好きになれなかった番組です。低視聴率ですが、スパイ大作成(Mission:Impossible)とサンダーバードを足して二で割った、スパイとスーパーメカが活躍する、マイティジャックは大好きでした。彼の関わった番組で特に大好きな番組といいますかヒーローは、ウルトラセブンなのです。
ウルトラセブンは、1967年から1968年にかけての放送。僕が幼稚園から小学1年生の時に観た番組です。ウルトラセブンは、M78星雲から宇宙の平和を守るため、彼の担当の地球に遣わされた宇宙人です。その星の先住民(地球人)に対し、外部から侵略する者(異星人)を排除するのが重要な役目なのです。M78星雲の住民(ウルトラセブンを含む)は、地球にすむ人類を「ノンマルト」と呼んでいたのですが、実は人類は、先住民のノンマルトを海底に追いやって、地上を支配した侵略者だったのです。海底から再度地上に戻ろうとするノンマルト(先住民)に、ウルトラ警備隊とウルトラセブンは闘いを挑みます。ウルトラセブンは、侵略者側について戦う、つまり本来遣わされた使命とは別の行動をとらざるを得ない矛盾が生じます。完全無欠のヒーローでないこのところが、いまでも大好きであり続ける番組の大切な要素です。
さすがに、最初に観たときは意味も何もわかりませんでした。このウルトラセブンは、非常に多くの再放送があったので、何度も何度も観ました。だんだん年齢が上がるごとに、物語の意味がわかってくるのを感じつつ観ていました。海底原人ノンマルトのお話は、いまでも心のなかにあって、なにか考えるときの一つの物差しになっているような気がします。「勝てば官軍」「歴史は勝者によって書かれる」という言葉がありますが、紛争、内戦、民族問題を片側からの立場だけでなく、また歴史的な背景、政治的なこと、経済的なことなども含めて綜合的に判断しないといけないと、考える様になっていく最初のきっかけだったのかもしれません。
金城哲夫さん、ありがとう。